社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

人体の構造と機能及び疾病。

「老年期の痴呆(認知症)の原因と症状について、整理して述べること」

B評価。

 

様々な情報の収集、分析、判断を行う認知能力。この能力を司る脳内の神経細胞が障害を受け、社会生活に支障をきたすようになった状態を認知症と定義する。認知症の症状について代表的なものをあげ、原因別に考察していきたい。

割合を順位ごとに見ていくと、最もポピュラーなアルツハイマー病、次いで脳血管疾患、混合型(アルツハイマー病+脳血管障害)、その他(レビー小体病、ピック病等)の順となっている。

約半数を占めるアルツハイマー病が発症すると、脳にシミのような「老人斑」が広がり、周囲の神経細胞を圧迫し殺してしまう。神経細胞の中には糸状の「神経原線維変化」が見られ、神経細胞を萎縮させて死滅させる。この2つが外側と内側より記憶を司る海馬周辺から神経細胞を減少させていくのである。次第に侵食していく為、経過は、初期の日付がわからない、朝食のメニューを忘れるなど記憶力の低下の段階から、中期の直前の出来事も覚えられない、気候に合わせた衣類を選べない等、周囲のサポートが必要となる段階、そして、運動機能・コミュニケーション力の低下、家族の顔が分からないなどといった後期の段階まで、緩やかに進行していくのが特徴である。

次の脳血管疾患によるものであるが、脳出血脳梗塞などにより、脳の血管に障害を受けた部分の働きが悪くなる事で発症する。脳梗塞などの発作をきっかけに始まることが多く、発作を繰り返す度に脳の障害が広がり、段階的に症状が進行していくのが特徴である。また、「まだら認知症」とも呼ばれる程、認知能力の低下に差がある事も大きな特徴で、障害を受けている脳と、そうでない脳がある為、判断力は全くなくとも、記憶能力は保たれているなど、一部の能力のみの低下が見られる。高血圧や糖尿病、肥満など生活習慣病が大きな原因となる為、これをしっかりとコントロールする事で症状を維持でき、リハビリや治療を加えれば、改善へと向かう事もある。無自覚な無症候性脳梗塞などの恐れもある為、日頃より生活習慣に気を配ることが大切である。

ここまで、脳の認知機能の障害の症状、具体的には記憶障害や見当識障害を中心に見てきたが、福祉の観点で見ていくと、せん妄や妄想、抑うつ、興奮、徘徊、睡眠障害など、周辺症状(BPSD)のケアマネジメントが重要であると私は考える。

認知症は「こころの病気」ではなく、「からだの病気」である。認知能力は失っていくが、感情の領域が失われていく事はない。つまり、認知症患者自身は、自分が壊れていく事を感じながら生きているのだ。

日本人の平均寿命は、世界トップクラスであり、それ故認知症のリスクも高い。今後ますます高齢化が進んでいく中で、認知症ケアはより重要な意味を持ってくるであろう。