社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

精神疾患とその治療①

B評価。

 

統合失調症とは、幻覚や幻想にみまわれたり、周囲から見ると不可解な行動をとったりと、分かりにくい病気のひとつである。原因については不明な点が多く、遺伝的要因や心理的ストレス、脳の形態異常など複数要因が発症因子ではないかとの見方がされている。

代表的な症状としては、様々な幻覚、考えがまとまらない、思考が滅裂となる連合弛緩、被害的・誇大的な妄想、自分の思考と他者の思考の区別がつかなくなる自我意識障害、意欲の減退や意思の発動性のコントロールが難しくなる緊張病性昏迷や興奮、拒食、カタレプシー、拒食、言語障害、常同症や衒奇症など、多数の意思・欲望の障害が見られ、これらは一見して異常が分かることから「陽性症状」と呼ばれる。反対に、感情的な反応が乏しくなる感情平板化や、異常な興奮や緊張、両極端の感情が同時に現れるなどの感情の不調和、自己の世界に閉じこもる自閉、対人関係を拒絶したり、全く口をきかなくなるなどの疎通性障害などは、陰性症状と呼ばれる。

病型は、WHOのICD-10アメリカ精神医学会のDSM-IV-TRにより分類される。このふたつの立場で多少の違いはあるが、次の5つが代表的なものである。①青年期に好発され、連合弛緩が主症状の「破瓜型(解体型)」、②筋肉の硬直症状が特異的で、興奮・昏迷などの症状を呈する「緊張型」、③妄想や幻覚が中心で、30代以降の比較的遅い発症が特徴の「妄想型」、④陰性症状が中心で病気と気づかない事も多い「単純型」、⑤以上の4つの分類に当てはまらないか、2つ以上にあてはまる「鑑別不能型」が挙げられる。

経過は、症状や病型により多様ではあるが、前駆期、急性期、慢性期の3期を辿る。

前駆期は、特徴的な諸症状が明確に表れる前段階であり、非特異的な精神症状を呈する時期である。不安や抑うつ、集中・自信の欠落、意欲の低下など様々な症状が見られる。

急性期とは、各種代表的な症状が激しい時期である。この時期は症状が病気によるものと受け取る事が難しい、所謂「病識の欠如」が顕著であり、治療へのアプローチも慎重に行っていく必要がある。

治療を経て改善した後は、病型によっては病前に戻るが、残遺症状(主として陰性症状)を残し慢性化する事も少なくない。この時期を慢性期と呼ぶ。

統合失調症の治療法については、身体面、心理面、社会面の3つを総合的に行っていく必要がある。薬物による身体療法、支持的精神療法が基本となる様々な精神療法、生活指導やSST、RT、OTに代表される社会療法が挙げられる。

最後に予後であるが、生涯に一度のみの発症で短期間で治癒する症例から、回復と再発を繰り返す症例、回復することなく病気が続く症例など実に様々なパターンが見られるが、各療法の進歩に伴い、年々回復者は増加の傾向にあると言える。

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

1精神医学「精神疾患とその治療」

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

好きになる精神医学

著:越野好文 志野靖史

出版:講談社サイエンティフィク