社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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相談援助演習①。

「相談援助におけるソーシャルワークの自己覚知の必要性について述べなさい」

A評価。

 

相談を受ける、相談に乗るという行為は、特別な事ではなく、専門的な職種の人間にしか行えないことではない。誰しもが相談を受け、相談に乗ることはできる。では、専門的な相談援助とはどういったものなのであろうか。

専門でない人間であれば、自分の経験や体験を通じて得た価値観を基に、相談に乗り、応えても構わないであろう。相談者もそれを望んで相談相手としてその人を選択しているとも考えられる。しかし、専門的立場で相談を受ける場合には、専門職として相応の責任と質の高い援助が求められる。

相談援助とは、人と人との関係の中で行われる、言い換えれば対人援助である。自力では解決できない問題を抱え相談に訪れる人々と関わるソーシャルワーカーは、偏見や私見を挟むことなく、ありのままにクライエントを受け入れ、共感しなければならない。その共感から信頼関係が構築されて初めて援助へと展開されていく。この「相手に共感し理解する」という他者理解の能力は、ワーカーが自分自身を理解していないと決して得ることは出来ない。

ソーシャルワーカーとしての一番の道具は「ワーカー自身」であると言えるだろう。その道具を知り尽くしていないことには良い援助は生まれないと考える。道具を熟知し、その上で専門的価値や倫理を用いて援助していかなければならない。

どんな有能なソーシャルワーカーでも、これまでの自分自身の人生の中で、様々な価値観や先入観が生まれ、根付いていることであろう。しかし、専門的立場に立った相談援助を行うにあたって、その価値観や偏見が介入することは必ずしも適切ではない。自身の偏った価値観で支援を行ってしまったり、終には、相談者の利権を侵害したりすることに繋がりかねないからである。このような事態を招かないため、自己の価値観、先入観を知り、自らの能力、性格、個性までをも熟知した上で、感情や態度、対応を意識的にコントロールするという、自己覚知が必要なのである。

この自己覚知には、目標とする姿や正解、不正解があるわけではない。ただただ「ありのままの自己を知る」ということである。そして何よりも「ありのままの自己を知ろうとする」姿勢こそが、ソーシャルワーカーにとって、専門的な相談援助を行うにあたっての基本的な姿勢であり、永続的に行っていかなければならない活動と言えよう。

相談者の負の感情に対しても、共感し、その気持ちを理解する。自分自身の価値観では絶対に理解できない、許せない事もあるかもしれない。それと向き合うには、自分自身が成長し、人として成熟していくしかない。自己覚知が必要な相談援助であるが、多様化する様々な相談者に対し、より良い援助を行っていくため、未熟な自分を成長させていきたい。