社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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相談援助の理論と方法④

ソーシャルワークにおけるスーパービジョンの意義や機能について、ワーカーの自己覚知やクライエントとの援助関係の形成を視野に入れて論じなさい」

 

A評価。

 

まず、スーパービジョンとは、スーパーバイザーがスーパーバイジーに対して、能力が最大限に発揮され、よりよい専門的実践が出来るよう援助・養成する過程と定義する。

スーパービジョンの主な機能は、教育的機能・管理的機能・支持的機能の3つである。

一つ目の教育的機能とは、経験の浅いワーカーを一人前の専門職として育てようとする機能である。第一段階として、観察や傾聴を通じ、興味関心事を探り、何に困っているのかを見極め、それらを受容し、学習の動機づけを高める。その上で、具体的なケースの中で、スーパーバイザーからの指摘や指示、または解釈を受け、知識、技術、価値、倫理などを身につけていく。冒頭に述べた定義からすると、この機能は最も中心的とも言えるが、スーパーバイジーを支持しない事にはワーカーの動機づけを高める事は出来ないし、スーパービジョン自体が組織やチームの方針や評価に基づき行われる為、他の2つの機能と切り離し、単独で成り立つものではない。

二つ目の管理的機能は2つの面を持っている。1つは職場環境の整備を行う言わば管理者・監督者としての面であり、ワーカーが能力を十分に発揮出来るよう、仕事の負担や担当ケースの数、仕事の効率や手順、上司の評価は正当かなどあらゆる職場環境の整備を目指すものである。もう一方は、専門職的観点に拠るものであり、組織の目標や方針の達成に向けて、組織全体の専門的機能が十分に発揮され、ワーカーの援助活動が適切に行われているかを管理するという面である。

三つ目の支持的機能は、援助的機能や心理的機能とも言われるものであり、上述の2つの機能の前提となっている。対人援助という繊細で敏感な仕事を行う上で、ストレスは不可避であり、心身の症状に悪い影響を与え、バーンアウトしてしまう事も少なくない。これを防ぐ機能が支持的機能である。ケースを通じて生じる様々な感情を、スーパーバイザーからのフィードバックによって知るという事は、ワーカー自身の自己への気づき、つまりは自己覚知を深める事となる。また、職業上の自己実現を図るべく、意欲的に仕事に取り組めば取り組む程、組織の方針や価値観に衝突し葛藤を抱える事も多くなる。このように、自己覚知が促され、自分自身ではどうしようもない問題に直面した際や、自己実現達成に伴う葛藤の軽減などをサポートする為、支持的機能のスーパービジョンを行う必要がある。

以上3つの機能を見てきたが、スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係は、対人援助の過程と酷似していると言える。つまり、優れたスーパービジョン関係は、援助関係のモデルになり得る。さらには、スーパービジョンは援助者の成長をサポートするだけでなく、スーパーバイザーの視点が介入する事で、援助の客観性が守られ、援助者主体に陥らず、利用者主体のサービスが提供される事も期待できる。