社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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低所得者に対する支援と生活保護制度

生活保護における「自立支援プログラム」の内容と、プログラムを実施する上で配慮すべきことを、生活保護の「自立」の考え方を踏まえて論じなさい」

 

A評価。

 

生活保護制度の在り方に関する専門委員会の報告書」内で提言された「自立支援プログラム」であるが、報告書によると「被保護世帯と直接接している地方自治体が、被保護世帯の現状や地域の社会資源を踏まえ、自主性・独自性を生かして自立・就労支援のために活用すべき【自立支援プログラム】を策定し、これに基づいた支援を実施すること」とされ、「具体的には、地方自治体が、地域の被保護世帯の抱える問題を把握した上で、自主性・独自性を生かして重層的かつ多様な支援メニューを整備し、被保護世帯の問題に応じた自立支援プログラムを策定」するとある。

生活保護における「自立」の概念をまとめると、「就労自立」「日常生活自立」「社会生活自立」の三つが掲げられており、並列の関係にあるものとされている。自立支援プログラムは、この三つの自立それぞれの観点からの支援メニューが整備されるべきであると謳われている。つまり、自立支援プログラムの最大の目的は、その対象者個人が、上記三つの自立それぞれにおいて可能性を見出し、自分自身で人生を切り開いていく事と言える。これは、長らく改革が成されなかった生活保護制度において、「利用者主体の自立助長」という新たな考え方を導入したとも言える。

しかし、この自立支援プログラムは、「保護費の減額、保護の停廃止」という財政面での目的も背景に垣間見れる。国側=プログラム実施者側の論理が先行し、被保護者側にたった議論がないままスタートしたとも言える。実施者に都合の良いプログラムが作られ、対象者に押し付けられるのではという懸念があり、絶対にあってはならない事である。

プログラムを実施するにおいて、最も大切なことは、対象者本人の自発的な動機付けを促すようなプログラムを作成するという事である。その為には、的確なアセスメントの実施と、プランニング段階における、対象者の充分な参加と話し合いによる適当なニーズの洗い出しが行われなければならない。また、モニタリングや評価段階においてもインフォームドコンセントが徹底されていなければならず、対象者主体でプログラムが進んでいかない事には、本当の意味での「自立」支援には繋がらないと考える。

様々の福祉分野で「自立支援」と謳われているが、支援者側の体制にも改善すべき点はある。業界の資質低下が問題として叫ばれているが、ワーカー個人の努力や経験というパーソナリティにより支援内容にバラツキがあるという点も問題であると考える。これを改善する為に自立支援プログラムが提言されたとされているが、体制面の具体的な改革が必要である。プログラムの評価指標を全国一律に設けたり、ワーカー自身も具体的に評価されるような制度の策定など、支援の質に格差が出ないような、ワーカーが奮い立つような国としてのより具体的な指針を定めてみてはどうだろうか。

参考文献 厚生労働省HPより

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1215-8.html