社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

児童虐待への対応について述べなさい」

 

B評価。いつの時代も旬なテーマです。

 

虐待は発見され通告されることで保護への仕組みが動く。家庭内など閉ざされた場所で行われる為、行政からは見えにくい問題であるが、12年の児童虐待防止法成立により虐待が定義付けされ、住民の通告が義務付けられると件数は急速に伸びた。その後も次々と法整備は進み、同居人による虐待の放置・黙認も虐待とするなどの定義の見直しや、通告義務範囲の拡大、市町村も虐待通告先として相談窓口を設置するなど体制の充実が図られた。

通告を受けた後、児童相談所は調査を行う。基本的には任意調査だが、保護者が拒否的な場合には立入調査を行うことも出来る。優先的に行われるのは、子どもの安全確認であり、一時保護の要否判断が速やかに行われる。19年の児童相談所運営指針の改正により「48時間以内が望ましい」などの基本ルールが設定されている。また20年の法改正では、安全確認のための立入調査の強化も謳われた。一時保護は親権者の合意の下で行われるのが望ましいが、応じない際は職権一時保護として、合意・司法関与も必要とせず実行可能である。保護の期間は原則2ヶ月と定められているが、必要が認められれば延長も出来る。

調査結果や一時保護中の行動観察結果を踏まえながら、子どもにとっての援助を決定する為の判定が行われる。医療や教育、心理など様々な面から診断が行われ、在宅指導、親子分離、親権喪失、さらには刑事責任の追求まで行われる事となる。

親子分離の措置は、親権者の意に反して行うことは出来ず、児童相談所が分離が必要と判断しても合意が得られない場合には、家庭裁判所に対して措置の承認申立てを行い分離を図る。措置期間は16年の児童福祉法改正により、2年の有期限化が行われた。これによりこれまで都道府県の判断に委ねられていた措置解除について、定期的に司法が介入し保護者や子どもの状況を判断出来るようになったと言える。2年を超えても必要が認められれば、家庭裁判所の承認を受け更新も可能だ。

親権喪失に関しても、必要が認められた場合は、児童相談所家庭裁判所へ宣告申立てを行う。20年の法改正により、保護者に対する面会・通信などの制限が強化されたり、保護者が指導に従わない場合の措置についても明確化され、子どもの保護が進んでいる。

さらに21年の法改正により、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業など子育て支援事業の法定化および努力義務化、要保護児童対策地域協議会の機能強化、里親制度の改正など家庭的養護の拡充など、より一層の援助体制が図られている。

最後に、都道府県と市町村との関係についての考察を述べる。これまでのように都道府県が市町村を管理・指導するという立場ではなく、課題取り組みの方向性の明確化、市町村の進捗状況の把握、データの集約、結果の評価など市町村へのモニタリングの役割が期待されているのではないだろうか。