社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

障害者に対する支援と障害者自立支援

「「障害程度区分(現支援区分)」の概要について記述し、その意義と課題について論じなさい」

 

B評価。

 

障害福祉サービスを利用しようとする場合、まず始めに障害者およびその保護者は、市町村からの支給決定を受けなければならない。その際に用いられるのが障害程度区分である。

様々な問題点が指摘されている障害者自立支援法であるが、当事者から特に問題点として挙げられるものの一つにこの障害程度区分がある。区分を設けることによって、利用できるサービスの種類や量の決定、そのサービスの必要性を明確にするなど、総合的かつ客観的な指標となったり、国の国家負担基準の算定にも役立っているとされている。

支給決定までのプロセスを見ていくと、希望する給付内容によって手続きは異なり、介護給付では区分の認定が行われるが、訓練等給付では認定は行われず、調査結果のスコア化(利用者の優先順位等を決める為の参考数値)のみが行われる。区分の認定は、一次判定となる106項目の認定調査を機械的に行った後、市町村審査会において、一次判定の結果や特記事項、医師の意見書などを基に二次判定が行われる。このプロセスを経て区分は決定されるが、介護保険制度と違う点は、区分決定=支給決定ではないと言う点である。区分決定後は、社会活動や介護者、居住などの本人を取り巻く環境調査が行われる。その勘案事項調査結果を踏まえた上で、本人のサービス利用に関する意向を聴取し、さらに審査会で検討され、支給決定が行われるれるのだ。

以上が支給決定までのプロセスである。以下、問題点・疑問点を述べていく。

認定調査で用いられる106項目であるが、この中のほとんどが介護保険制度における要介護度を導き出す項目が基礎となっており、79もの項目が流用である。つまり、要介護度を判定し、それをベースに残りの27項目で障害程度区分としていると言える。介護給付の希望でのみ区分認定されるというのは、これが理由で、ゆくゆくは介護保険制度とも一元化しようという思惑が垣間見えてくる。千差万別である障害を、三障害一元化した上で区分する事がそもそも難しいであろう中で、要介護度+α=障害程度と言えるのであろうか。その他勘案事項や本人のサービス意向を検討しているとは言え、それが果たしてコンピュータではじき出された一次判定にどれだけ反映されているのかも未知数であるし、大いに反映されているのであれば、そもそもの一次判定の必要性が分からない。そして、「区分に応じて利用できるサービス内容や量が決定される」という考え方自体も、ニーズを先行したケアマネジメントが求められている中では、ただ単に邪魔な概念でしかないと考える。

介護保険のしくみを流用し、客観的な指標を設け、利用できるサービスを絞る、尚且つ国庫負担基準の算出にも役立つ」、語弊があるように聞こえるだろうか。運営側の分かりやすさと管理しやすさが先行された仕組みであると私は感じる。