社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

地域福祉の理論と方法②

「地域福祉を推進していく上で、住民参加の重要性と課題について、あなたの意見を述べなさい」

 

B評価。

 

近年の急速な少子高齢化や価値観の多様化などで社会は変化し、地域の繋がりは希薄になり、近隣とのコミュニケーションや交流の少なさが指摘されている。その状況を受け国は、地方分権改革の中で地域福祉の推進という方向性を明示した。加えて、進む福祉ニーズの多様化により、福祉は限られた人にのみ必要なものではなくなってきている。ここに住民参加の大きな意義があり、今すぐにサービスが必要でない人も、将来誰もが必要となるであろうサービスを、住民全員が自分自身の手で整備・発展させていく事にある。

住民参加が重要とは言え、住民の力だけで行えるものではない。福祉機関が中心とならなければならないのはもちろん、行政にしか出来ない、財政面での援助や、計画や制度等の整備、国への直接的な働きかけなどが必要不可欠である。反対に、住民にしか出来ない事も多い。虐待や家庭内暴力、老々介護など外からは見えにくいケースの発見や見守り、生活者としての視点の提供、発生した問題に対し当事者として解決の方法を探していく力、第三者としてのサービス評価などを挙げる事が出来る。これらの強みを互いが理解・提供しながら地域福祉は発展していく。

住民の持つ大きな役割とは、「福祉と地域とを結びつける唯一無二の存在」という事だと私は考える。行政が地域福祉計画の中で啓発法や学習会、教育姿勢などを謳っても、結果として住民の参加が無ければ成立しない、福祉施設が行事を住民へ開放したり、障害者や高齢者が地域の行事に積極的に参加しても、住民の参加がなければ何の意味も持たない。

私の地域では、市町村が開催しているバザーやお祭りなどの行事を通じ、福祉サービス利用者と地域住民との交流の場を提供している。バザー会場では障害を持つ方のお店で、障害を持たない方が一般的なバザーと同じように値引き交渉をしていたり、高齢者のお店で、昔ながらの工芸品を若い夫婦が手に取りながら談笑していたりという光景が見られ、お祭り会場では、多種多様なお店に紛れ、福祉施設も出店しており、同種の商品を扱うお店との値段付けの駆け引きを行いながら対等に競争していた。ステージでは、高校生によるパフォーマンスなどの中に自然に障害を持つ方によるパフォーマンスが組み込まれていた。

障害者支援施設が主体となって運営されている農産物直売所では、その施設で栽培された農産物の販売はもちろん、近隣住民の方々も農産物や手作りの工芸品などを販売することが出来る。地域住民が購入者として参加するだけでなく、販売者としても参加している。

以上は好例ではあるのだろうが、目の当たりにした私は、小さなノーマライゼーション社会が見えた。人が集まればパワーが生まれる。今はまだ、お祭りなどの行事や小さな直売所でしか感じられない力だが、それが日常に広がっていく事で、本当の意味での地域福祉がスタートするのだろう。