社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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地域福祉の理論と方法①

社会福祉システムの変革過程の中で、何故、地域福祉という分野が創出(または形成)されてきたのか。地域福祉の基本的な考え方を踏まえて論じなさい」

 

C評価。過去最低。

 

日本において地域福祉が大きな展開を見せるのは、戦後の高度経済成長においてである。都市化と過疎化が進んでいく中で、これまでの地域共同体が崩壊し、様々な生活上の問題を発生させたとし、新たなコミュニティの形成が求められた。この時の理論やサービス提供体制に大きく影響を与えたのが、イギリスにおけるコミュニティケアの思想であった。これまでの施設収容の考え方と対置する概念であり、「地域社会で総合的に保護し、より一層の維持発展を図る」という考え方である。

その後も、ゴールドプラン社会福祉基礎構造改革に代表されるように、ノーマライゼーションの理念の下、高齢者や障害者など支援を必要とする人々へ対しての政策方針は、「脱施設」「在宅ケア」「地域移行」などをキーワードに、ますます高い地域性が福祉に求められるようになる。

地域福祉の最大の目的は、「ある地域での自立生活を可能になるようにすること」と言える。かつての社会福祉は「貧困」を主な対象としてきたが、現代での対象は多種多様化しており、「心身の障害や不安」「社会的排除や摩擦」「社会的孤立や孤独」などがあげられ。孤独死や家庭内虐待・暴力など社会的孤立や排除の中で、行政では見え難い問題も多く、冒頭にも述べた「高度経済成長で希薄になってしまった地域間のつながり」の現代的再構築の必要性が叫ばれるようになった。

地域とは、過去の日本においては、町内会や自治会などのように生活圏域や生産圏域を同じくする中で成立していた、いわゆる「タテ社会型」の地域コミュニティという意味合いが強かった。その後、高度経済成長により、そのつながり方も変化し、必ずしも生活圏域や生産圏域を基盤としない、個々人の興味関心事でつながる「ヨコ社会型」へと変化していった。現代的な地域福祉を組織していくにあたって、一定の生活圏域で形成される「地域コミュニティ型組織」と、この「アソシエーション型組織」とを上手く組み合わせた上で、基盤となる市区町村単位でコーディネートしていく事が期待されている。

地域福祉は、社会福祉において、新しい考え方、新しいサービスシステムでありながら、2000年の社会福祉事業法から社会福祉法への改正・改称により集大成され、社会福祉の主となる概念となった。対象者を「状況の中の人」として捉える相談援助の概念や、個別ニーズを把握し、適切な社会資源と結び付けていくケースマネジメントの手法、その人の機能障害を基点とし生活モデルから明らかにしていくICFの考え方や、ストレングス視点、エンパワメントアプローチ、ジェネラリスト・ソーシャルワークとしての技術に至るまで、現代のソーシャルワークの基礎として絶対的に根付いている。

 

(1)厚生労働省・援護局「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討報告書」 2000年12月8日 より