社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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精神保健福祉の理論と相談援助の展開①

A評価。

 

グループワークとは、人間にとって最も身近で重要な社会的環境である集団を意図的に成し、メンバー一人ひとりの成長はもちろん、グループ、地域社会の成長や発展を目指していく援助方法のひとつである。

そもそも人は自分一人で生きているのではなく、様々な人との関わりの中で社会生活を営んでいる。言い換えれば、好む好まないに関わらず人は集団との関わりを断ち切ることは出来ない。つまり、人は自ずと社会的な存在なのである。この集団という環境での刺激は、人間の発達や生活に大きく影響を与えるものである。

精神障害を持つ方の多くは、疾病による障害や、服薬による副作用、社会的な偏見などを理由に人との付き合いの経験が少ない、または機会が奪われていることが多いが、障害の受容や症状の改善、社会復帰など多くの面で、人との関わりは不可欠であり、グループワークは有効な方法である。

グループワークは、ワーカーとメンバー間の信頼関係、ワーカーとの関係だけでは起こりえない、メンバー間の相互作用、目標達成のための手段であるプログラム活動、そして活用される全ての社会資源が援助媒体である。あくまでプログラムは目標達成の手段であり、以下に活動中に生じるグループダイナミクスを活用出来るかが重要である。

展開過程は、援助対象を決定し、グループの形成を計画し、メンバーが顔合わせを行う準備期、メンバー同士の関係やワーカーとの関係を構築し、円滑にワークを行えるようにする開始期、実際にプログラムに取り組みながらグループダイナミクスを大いに活用していく作業期、予定回数の終了、目標の達成に伴う終結期という4つの過程を辿る。終結期はメンバーが次の生活に巣立つという、すなわち移行期とも言える段階であるため、ワーカーはメンバー一人ひとりのニーズを見極め、次の支援へとつなげていく事が鍵となる。

こうしたグループワークは病院や教育分野、支援施設等のさまざまな所で行われているデイケアSST、家族会といった形で展開されているものや、当事者自身が主体的に集まって結成するセルフヘルプ・グループなどがあり、それぞれの意義や目的はメンバー個々のニーズにより様々である。セルフヘルプ・グループには当事者組織や自助グループが挙げられる。これらのグループは専門職や専門機関に依存していないため、枠にとらわれず、自立したワークを展開する事ができ、エンパワメントを高める事が可能である。このセルフヘルプ・グループも大いに活用していく事が有効であると考えるが、ボランティア的な組織である事による運営上の問題が多い事や、過度なアドバイスや介入により、ある意味、与える側になってしまいがちな専門職とのパートナーシップの形成など、考えていくべき課題は多い。

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

4精神保健福祉の理論と相談援助の展開

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

新・社会福祉士養成講座

8相談援助の理論と方法Ⅱ

編集:社会福祉士養成講座編集委員会

出版:中央法規出版