社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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精神保健福祉の理論と相談援助の展開②

進む長期高齢化を受け、高齢者支援としてのケアマネジメントは重要視され、2000年の介護保険制度の実施により明確化された。これにより、日本においてケアマネジメントとは、「高齢者への個別アプローチ」という認識を深めてきているが、原点とも言える方法論は、アメリカにおける精神障害を持つ人々へ対する在宅支援、社会生活モデルを基盤としたアプローチに起因している。つまり、ケアマネジメントは、終末期ケアや生命の維持といった介入ばかりではなく、人生を有意義に生きがいを持って送って頂くことを支援するポジティブな介入が根本であると言える。

障害を持つ人々へ対しても、1981年の国際障害者年を契機に、自立生活が強く叫ばれるようになり、脱施設やコミュニティケアなどのノーマライゼーションの考え方、そして、「生きがいのある、質の高い生活」を目指すべく、ケアマネジメントは重要性を高めてきた。2002年に厚生労働省により発表された「障害者ケアガイドライン」でケアマネジメントが定義された。白澤政和氏の言葉を引用すると、「対象者の社会生活上での複数のニーズを充足させるため適切な社会資源を結びつける手続きの総体」と言える。

しかしながら、障害者のケアマネジメントはまだまだ未成熟であり、2012年にようやく、福祉サービスを利用される障害者に対し、相談支援専門員が関わり、計画を作成する事となった。私は現在、相談支援専門員として仕事に従事しているが、制度自体の認知の低さも手伝ってか、まだまだ充分に機能しているとは思えないのが実際である。

ケアマネジメントは、「対象者」「社会資源」「ケアマネジャー」の3つの、コーディネーションとネットワーキングにより展開されていく。社会資源とは、地域に存在する全ての物を指し、商店やスーパー、各種専門機関や専門職、ひいてはそこに住む全ての地域住民までをも意味する。この社会資源を対象者のニーズに応じて結び付けることがコーディネーションである。コミュニティケアが重要視されるようになり、地域に散在する社会資源の調整は、ますます重要視されている。対象者と社会資源を結びつけるには、適切な社会資源の模索が基本であるが、多様化するニーズに応えるべく、社会資源を創造する事も大切である。このコーディネーションや社会資源の創造は、豊かなネットワーキングによって有効に機能する。ネットワーキングとは、「各種のつながりを形成する過程」を指すが、特に社会福祉分野では、これまでの既成概念や制度内での考え方にとらわれず、予定調和的なつながりを排した、多様化と多元化を促進するネットワーキングが求められており、フォーマル・サポート間の連携だけでなく、インフォーマル・サポートとの連携や、セルフヘルプグループとの連携など、総合的に地域福祉を推進するためのネットワークの形成が期待されている。

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

4精神保健福祉の理論と相談援助の展開

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

ストレングスモデルのケアマネジメント

著:白澤政和

出版:ミネルヴァ書房

 

新・社会福祉士養成講座

8相談援助の理論と方法Ⅱ

編集:社会福祉士養成講座編集委員会

出版:中央法規出版