社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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精神保健福祉相談援助の基盤(専門)

A評価。

 

患者や家族の数だけ、それぞれ思いは異なる。近年ますます多様化するニーズに応えるために、多職種連携は重要視されており、精神保健福祉士法第41条においても、精神保健福祉士と多職種との連携は義務付けられている。

精神保健福祉領域において、医師、看護師、作業療法士臨床心理士などとチームを組み、精神保健福祉士ソーシャルワークを進めていく。チームの構成員は対等で、それぞれの専門性を尊重し合い、情報を共有化し、リーダーのもとで共通の目標に向かって統一した対応を取ることが求められる。可能な限り、クライエント本人やその家族もチームへ参加し、意思やニーズが正しく反映されるよう配慮することも大切である。

単科の精神科病院、総合病院の精神科、精神科診療所、医療機関併設のデイケアなど、精神保健福祉士の配属先は多岐に渡るが、共通している業務は、精神障害者の生活を支援する立場であるということである。治療を担うのではなく、医療と地域生活の橋渡しをし、クライエントの権利擁護を推し進めることが最大の役割である。その実現のために、精神科医療の枠だけに囚われることなく、福祉、労働、司法、教育など様々な領域の専門職や、ボランティアやセルフヘルプグループなどといったインフォーマルな団体も含め、地域生活実現を目指し、社会資源とのパイプ役となることが求められる。

精神保健福祉領域は、医療色が強い現場であるため、医師にかかるところが大きいと考えられる。医療職ではない精神保健福祉士は、主治医のある場合は、その指導を受けることが義務とされているが、クライエントの社会参加や地域生活支援においては、精神保健福祉士がチームリーダーとしての役割を担う必要がある。つまり、主治医の意見を聞き、指導を受けながらも、精神保健福祉士として独自の専門的な視点に基づいた判断と、それによる支援を実践していかなければならない。自身の所属内だけでなく、外の他機関との連携による援助活動を展開する視点が重要であり、自身の専門性と主体性を発揮する責任を持っていることを日常的に自覚しつつ、研鑽する努力を怠ってはならない。

近年の医療モデルから、生活モデルの視座の転換や、病院から地域へと実践現場を移行しようとする動向に伴い、クライエントは医療と福祉サービス双方の選択権と、自己決定権が保障された。しかし、複雑な法制度の中から自身で選択し決定することは容易とは言えず、ワーカーのパターナリズムに陥ってしまう懸念も孕んでいる。専門職による専門性の深化はもちろんだが、クライエントとの関係性や個別性を大切にした援助のあり方、各専門職の機能の明確化、領域の整理など、今後の課題は少なくない。

 

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

3精神保健福祉相談援助の基盤(基礎・専門)

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

公益社団法人 日本精神保健福祉士協会

ウェブサイト内「精神保健福祉士について」

http://www.japsw.or.jp/psw/