社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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精神障害者の生活支援システム

A評価。

 

1981年の国際障害者年を契機に、ノーマライゼーションの考え方が普及し、「完全参加と平等」というテーマが掲げられるようになった。1995年には、「障害者プラン―ノーマライゼーション7か年戦略」において、「地域で共に生活する」ことが明記され、障害者の地域生活の声はさらに大きくなった。これを受け、精神障害者の地域生活を実現するために、生活基盤となる住環境資源やサービスの整備、充実が進められている。

住宅確保の施策の一つとして、公営住宅の利用がある。1980年に身体障害者に限り単身入居が可能となっていたが、2006年には、精神障害者知的障害者にも対象が拡げられた。単身入居、優先入居だけでなく、グループホームとして公営住宅を活用できる制度も整えられた。

精神保健福祉法における社会復帰施設も重要な資源であり、精神障害者生活訓練施設(援護寮)や、精神障害者福祉ホーム(A型・B型)、精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)が法定化されていたが、現在では、障害者総合支援法へそれぞれ統合され、自立(生活)訓練、宿泊型自立訓練、共同生活援助(グループホーム)として位置づけられている。

グループホームは、平成25年度までは、共同生活援助(グループホーム)と、共同生活介護(ケアホーム)として二分化されていたが、対象者を限定することなく、地域移行の推進を可能にすべく、平成26年度よりグループホームに一元化された。また、支援スタッフも柔軟に配置出来るよう、生活支援員のみを配置する「介護サービス包括型」だけでなく、外部の居宅介護事業を組み合わせた「外部サービス利用型」という形態も可能となっている。

共同生活から、単身生活移行のニーズに対しては、「サテライト型住居」の仕組みが創設された。グループホーム近隣の民間アパート等の一室で生活を送りながら、本体住居であるグループホームの支援機能(スタッフの巡回による見守りや、食事、余暇活動への参加、メンバーとの交流など)を利用するというものである。

その他にも、生活保護受給者で、心身の障害のために一人では生活できない者を対象とした救護施設や、社会復帰の可能性がある者に対し、生活指導や自立に向けた技能習得を目指す作業指導を行う更生施設といった、生活保護法で制定されている施設も、精神障害者の生活を支えている。

一般住宅移行への支援事業として、住宅入居等支援事業(居住サポート事業)があったが、様々な社会資源を、対象者のニーズに沿ってトータルコーディネートすべく、現在では相談支援事業に位置づけられている。地域への移行支援だけでなく、24時間の相談体制の提供や、各関係機関との調整など、地域生活定着へ向けた支援も行われている。

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

精神障害者の生活支援―制度・システムとサービス

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

平成26年7月スクーリング資料