社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

精神保健福祉援助演習(専門)①

B+評価。

 

社会的入院が社会問題となっている日本において、精神障害者の退院支援・地域移行支援は精神保健福祉士の担う、最も大きな役割のひとつである。

長期に渡る社会的入院を余儀なくされた精神障害者が地域で暮らす為には、対象者の持つストレングスを最大限に活かせるよう、綿密なアセスメントが第一に必要である。その上で、社会資源や制度を活用し、安心した暮らしが送れるよう環境に働きかけていく。

この事例では、ケアホーム(現在はグループホームに一元化)への入居が移行先として扱われているが、退院後の暮らしの場として、①家族と同居、②一人暮らし、③グループホーム、④入所施設、⑤宿泊型自立訓練施設、⑥サテライト型住居などの社会資源や制度が考えられる。脱施設が叫ばれている今日において、④の入所施設への移行は流れに反しているという見方もあるが、家族の協力を得られないケースや、一人暮らしでは不安が多過ぎるケース、グループホーム、サテライト住居、宿泊型自立訓練などの資源の少なさなどを理由に入所施設を選択せざるを得ないケースもあるであろう。しかし、入所施設も地域に存在している社会資源なのであり、社会的入院の解消を目指す上で、必要な資源であるという見方も出来る。実際に、私が関わっているケースでは、入所施設も定員がいっぱいで利用出来なかった為、短期入所を活用しながら生活の場を確保し、定員の空きを待った後に入所し、現在はグループホームでの生活を目指しているというケースもある。大切なのは、入所施設へ移行した場合においても、そこで支援を終結するのではなく、次のステップへの移行を考えていく事ではないだろうか。

さらに、当事者本人が、本人らしく生き生きとした生活を送って頂く上で、暮らしの場だけでなく、日中の活動や働く場も併せて考慮していく必要がある。これについては、①一般就労、②就労移行支援、③就労継続支援A型、④就労継続支援B型、⑤自立(生活)訓練、⑥生活介護、⑦精神科デイケア、⑧地域のサークル等が考えられる。これらの社会資源をご本人のニーズやデマンドに添いながら組み合わせ、場合によっては新たな社会資源を開発していく事も精神保健福祉士の役割である。

精神障害者の退院支援・地域移行支援といった支援の一場面だけを見てしまうと、終結があるように思えるが、精神障害者への支援に終結はなく、支援ステージが変わっていくものだと私は考えている。長く当事者に寄り添いながら、その時々に応じた当事者のニーズを把握し、各サービス事業所、相談支援専門員、地域移行支援従事者、地域定着支援従事者、市町村の障害福祉担当などといった、多方面の専門職と連携しながら支援を継続していく事が精神保健福祉士の責務である。

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

7精神保健福祉援助演習(基礎)(専門)

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版