社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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精神保健福祉の理論と相談援助の展開④

精神科リハビリテーションの主な技法として、作業療法、集団精神療法、認知行動療法、心理教育の4つがある。アプローチに違いはあるが、どの療法も「対象者の主体的な活動の回復」つまり、自分自身の力で目標をクリアする事、自分で出来るようになる事を目的として行われる。

作業療法とは、「作業」という言葉から連想される一定の「仕事」だけを指すのではなく、生活を維持する諸動作全般、遊び、他者との関わりといった人の営みに関する全てを意味しており、それらを活用しながら、諸機能の回復や維持、開発を目指す療法である。対象者の身近な作業活動によって自分自身の感覚を取り戻し、成功体験や達成感を積み重ね、自信、主体性の回復を図っていく。手段は、料理、絵画、手芸、陶芸、書道、音楽、スポーツなど様々で、改めて「治療」という認識を持つことなく、活動を楽しむ事によって、回復を目指すものである。

集団精神療法は、ご本人と主治医という個人的な精神療法に対して、集団で行われるものを言い、メンバーと対象者の相互作用を大いに活用しながら良い影響を得ようとする療法で、グループワークに代表される。対人関係の問題だけに焦点が当てられがちだが、自己理解の促進や適応力の向上も図る事ができ、様々な問題や悩みに作用する。

認知行動療法とは、知覚機能、注意機能、記憶機能、実行機能の4つの機能に働きかけながら、気持ちを楽にし、考え方のバランス(認知の歪み)を回復し、ストレスに対応できる状態を目指していく療法である。代表的なものに、社会生活技能の獲得を目指すSSTや、自立生活技能の獲得を目指すSILSプログラムがある。

最後に心理教育であるが、「教育」という言葉の通り、情報提供の意味合いが大きい。様々な諸問題に対しての知識や情報を提供する機会を設け、ご本人やご家族とともに理解を深め、協働して対処法を考える事で、障害と向き合い、前向きな気持ちの獲得を目指していく。方法としては、専門家による講義や、参加者によるグループ討議が一般的な進め方であるが、専門性の偏りや、専門家の権威の依存などを起こさぬよう、多職種チームでのアプローチが大切である。また、主体はあくまでも当事者である事を忘れず、パターナリスティックな関係とならないように努め、最終的なご本人のエンパワメントを目指していかなければならない。

精神科リハビリテーションは入院時だけでなく、必要に応じて退院後も継続されるものであり、対象者の環境や状況によって、必要とされる技能は様々である。居住支援や就労支援の場面においても、必要なリハビリテーションを選択しながら、継続していく事が大切である。

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

5精神保健福祉におけるリハビリテーション

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版