社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

相談援助演習③

「<課題別の相談援助事例>社会的排除 低所得者 ホームレス(自分が経験した事例)」

 

A評価。選択型の課題だったんですかね。忘れました。

 

私は障害者支援施設で勤務している。元々は知的障害児施設であった為、諸問題により措置入所に至った利用者も多い。その中で見た事例を参考に、低所得者や貧困に関するソーシャルワークの課題について考察していく。

ある軽度の知的障害の児童が措置入所となった。措置となった理由は、家庭の貧困問題であった。家庭内の状況は、父親は行方知れずで、母親がひとりで面倒を見ていたが、仕事と育児に追われ精神を煩い、仕事が出来なくなってしまった。入所後も母親の愛情は深く、面会も多くあった。しかし、突然ぱったりと面会がなくなった。母親が生活保護を申請した為、施設への唯一の交通手段であった車が所有出来なくなった為と分かった。結果、経済面での援助は得られたものの、母親の精神状態は、子どもに会えない辛さから、ますます悪化していった。その後児童が18歳を迎えるにあたり、当施設とは別のグループホームへと移り、関係は薄くなってしまったのだが、ここまでの事例を考察するだけでも、様々な反省点や課題が見えてくる。

まず、ひとり親家庭への支援が、本当に援助を必要としている人々へ行き渡っていない事実が見えてくる。今回のように、児童が措置されて初めてインテークの段階に入るのでは遅すぎる。母子福祉資金や就業支援、ショートステイや日中一時、他レスパイト事業の利用など、事前に講じる事ができた支援があったのではないだろうか。「子どもを育てたい」「精神面に不安はあるが仕事はしたい」「子どもと暮らしたい」などのニーズやストレングスを導き出すアセスメントを行う事も出来ず、措置や生活保護という支援に行き着いてしまうのは、実に悔しい。自発的でない、外から見え辛い要支援者を如何に見ていくのか。アウトリーチ型アプローチへの課題が見える。

また、生活保護制度の課題も見える。車の所有は、仕事や通院などで使用しない場合、許可を得る事は難しい。しかし、事例のようなニーズも少なくないだろう。自分の子どもに会いたいという欲求は、健康で文化的な最低限度の生活には含まれないのだろうか。

別の観点から見れば、ニーズの把握不足、もしくは、支援者主体のワークであると指摘出来る。「定期的に面会したい」というニーズは把握出来なかったのであろうか。多数の面会があった事実で、アセスメント時に容易に挙がるはずである。車でしか行けない場所であるならば、ニーズを満たす事が出来ない生活保護をプログラムに盛り込むべきではないし、それでも生活保護がどうしても必要なのであれば、ニーズを満たす別の支援方法の検討・立案が必須である。

理想論を論じているのは承知しているが、低所得者や貧困問題への支援を、安易に生活保護で行っていると感じる。保護の補足性の原理で成り立つべき生活保護を濫用する事なく、早期介入による他の支援での解決が必要なのではないだろうか。