社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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保健医療サービス

「医療ソーシャルワーカー業務指針の構造を記述し、業務の6つの範囲の概略を述べ、範囲ごとに介入の留意点をソーシャルワークの価値との関係で論じなさい」

 

B評価。

 

保険医療サービスに期待される役割は、「医療ソーシャルワーカー業務指針」により、4つの要素で説明されている。「趣旨」では、業務指針の目的・性格が説明され、近年の多様化するニーズや諸問題を踏まえ、社会福祉としての観点からサービスを提供する事などが示されている。「業務の範囲」は、後述において詳しく論ずるが、業務内容として6つの項目が挙げられている。「業務の方法等」では、支援を行うにあたっての方法や留意点が明記されており、患者の主体性やプライバシーの尊重、医療スタッフや関係機関との協働、医師との密接な関係性の在り方などが明記されている。平成14年の改正により、「個別援助に係る業務の具体的展開」も加えられ、インテークからターミネーションまでの展開についても述べられている。「その他」では、業務を適切に果たす為の望ましい環境整備として、組織上の位置付け、患者・家族等からの理解、研修等の3つが掲げられ指針は締めくくられている。

医療と福祉は類似したサービスであるが、根底である価値の捉え方について、私は次のように考えている。価値とは「利用者の尊厳を絶対的に実現していく事」であり、医療においては、生命・健康の維持向上、つまり生命倫理を大前提とした価値である。一方、福祉においての価値とは、経済面や心理面、社会面など社会倫理としての価値が高い。この価値観の下、「業務の範囲」について論ずる。

業務の範囲は6つ掲げられているが、ソーシャルワークとの関係で分類すると、ミクロレベル、ミクロからメゾレベル、メゾからマクロレベルの3つに分けられる。

一つ目のミクロレベルには、経済的問題、心理・社会的問題、受診受療援助がある。業務を行うにあたり、個人・家族の状況の個別性を尊重しながら、対象者を取り巻く全ての環境にも目を向けなければならない。その上で患者と家族が自分らしく生きていけるよう支援すべく、ナラティブ・アプローチ技術に加え、あらゆる社会資源の活用法を知る必要がある。社会資源の中には医師も含まれ、受診受療援助においては、医師との連携・協働がさらに求められる。

二つ目のミクロからメゾレベルには、退院援助、社会復帰支援がある。在院期間の短縮が求められる現在、退院援助の重要性は高まり、業務指針においても社会復帰援助から切り離され、独立した指針として掲げられた。退院計画中、退院後も患者とその家族が自分らしく生活できるような地域との連続的ケアマネジメントシステムが構築され、社会復帰までシームレスに進む事が期待されている。

このシームレスで連続的なケアマネジメントは、メゾからマクロレベルの地域活動へと繋がる。地域の様々な機関や専門職が連携し、地域の問題認識の共有、相互関係の促進、社会資源の把握・創出など、ワーカーは要となって推し進めていく役割が求められている。