社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

福祉行財政と福祉計画

「福祉計画の目的と意義を踏まえて、あなたの住んでいる(または勤務いているなどかかわりのある)地方自治体の地域福祉計画をとりあげ、福祉計画の策定・実施にあたっての社会福祉士の役割、今後の課題などについて論じなさい」

 

B評価。

 

これまでの福祉は、対象者ごとに進められ課題の個別解決を目指してきた。しかし、ニーズの多様化や、地域の繋がりの希薄化など社会のあり方も変化してくると、対象者ごとへのアプローチが難しくなってきた。一方、ボランティア団体やNPOなど、様々な活動も多様・活発化を見せている。そこで、福祉を対象者ごとではなく「地域」という場所を中心に考え、皆で支え合おうという考えに変わってきた。これが地域福祉の基本的な考え方である。この地域福祉を進めて行く上で、その基盤となるのが、「地域福祉計画」である。

地域福祉計画は、福祉の主体である地域住民にとって、もっとも身近な市町村において、住民参加のもとに策定される。トップダウンによる全国一律に押し並べた計画なのではなく、ボトムアップによる、本当に必要で重要な課題がそれぞれの市町村で個別に盛り込まれた計画なのである。これにより各市町村が個別に抱えている問題をクローズアップする事も出来るし、計画の責任の所在も明確になる。市町村が自身で問題を洗い出し、計画し、実践する。ここで言う市町村には、もちろん行政だけでなく、地域住民や各種ボランティア団体、NPO法人なども含まれるが、それら全ての主体が共通の目標に向かって、共通のルールの中で実践していく。言わば、福祉計画の場は、「自治を目指す」という重要な空間を形成する意義も持っている。

私が生活する茨城県笠間市の地域福祉計画を見てみると、基本理念の「みんなで支えあう 福祉のまち かさま」が掲げられており、そこから基本目標が6つ、さらにそれに付随する施策や事業が計画されている。そして、これらを策定した視点として、1.住民参加の視点、2.利用者中心の視点、3.サービス総合化の視点、4.住民・団体・行政の協働の視点の4つが挙げられていた。

地域福祉計画の策定・実践において、計画の進行管理や評価、策定プロセスへの参加など、社会福祉士へ期待される役割は大きいが、上記の「視点」が社会福祉士ならば備わっているからであろう。地域福祉を目指す中で、行政はもちろん、ボランティア団体やNPOなどあらゆる組織と連携し、住民の意識や感心を高めながら、幅広い住民参加を目指す住民参加の視点。様々な福祉支援現場でのケースを通じて得た、個別ニーズを探り、必要なサービスを社会資源と結びつける利用者中心の視点や、課題に対して、あらゆる機関と連携しネットワークを築きながら、ニーズに多角的に応じられるようなサービス総合化の視点。住民や、様々な団体、行政とのパイプ役となり、福祉の基盤整備や条件整備を行う住民・団体・行政の協働の視点。これらは全て、実際の現場の最前線にいる社会福祉士らにしか得難い経験であり視点である。この視点を持った上で現場に立ち、本当に必要で重要な事を見極め伝える力。この力に長けた社会福祉士が今後ますます求められるだろう。

参考文献:笠間市地域福祉計画

     笠間市役所 福祉部社会福祉

発行:平成20年3月