社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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更生保護制度

「更生保護制度の概要についてまとめ、制度における社会福祉士の役割について述べなさい」

 

B評価。

 

更生保護とは、更生保護ネットワークのキャッチコピーである「人はみな、生かされて生きてゆく」に表れているように、過ちを犯してしまった人の立ち直りを地域社会全体で支えていこうという仕組みである。具体的には保護観察が中核であり、これは犯罪を犯した対象者への指導監督と、自立した生活ができるように必要な補導援護を組み合わせ、遵守事項を守らせていくことである。

地域社会が主体であるから、行政だけで運営されているのではなく、保護司やBBS会、更生保護女性会などのボランティアや、協力雇用主や更生保護協会などの民間事業者、NPO法人社会福祉法人などによって運営されている施設など様々な人々・組織によって支えられている。

「地域の皆で支えていく」という響きには、社会福祉と通ずるものが見えが、更生保護法が成立してく背景は刑事司法に基づいている為、社会福祉との間には大きな溝があったと言える。近代になり、犯罪者には刑罰を加えるだけではなく、いかに改善更生を図るかが重要な課題として捉えられるようになったり、受刑者も地域社会の一員であり、人権を尊重すべきだという人道的な考え方の広がりで、福祉的な考え方・支援の必要性も論じられるようになっていった。

ここで社会福祉士の役割が見えてくる。更生保護制度の「刑事司法からの脱却」であると私は考える。更生保護制度とは、罪をつぐなった人への制度であるのだから、刑事司法の領域である必要はなく、社会福祉の領域でなければならないのではないだろうか。

高齢や障害を有する出所者の方々の問題が多く取り上げられる。出所後円滑に福祉サービスへとつなぐ仕組みがつい先日まで皆無であった。つまり、出所したところで、受けるべき福祉サービスも受けられず、住居も定まらず、就労も出来なかったのである。遂には地域で生活できず、再び犯罪を犯してしまうというケースもめずらしいものではない。この問題を受け、21年度よりようやく地域生活定着支援事業が開始された。これにより、刑務所や更生保護施設に社会福祉士が配置され、地域生活定着支援センターと連携しながら、対象者にとって必要なサービスの手続きを進めていけるというものである。いよいよ福祉としての領域が広がってきたのである。

この制度が十分に機能し、対象となる人々の大きな助けとなることを期待しながら、結びに、一施設の職員である私にとってとても考えさせられた事例をひとつ挙げたい。

私が勤務する知的障害者支援施設の入所者宛に、その方の兄から一通の手紙が届いた。兄は1年5ヶ月の懲役を受け服役中で、その手紙の一節に「弟は無期懲役のようなもの、それに比べれば…」とあった。「施設入所=無期懲役」。このような考え方が無くなるような福祉を推し進めていくことも社会福祉士としての大きな責務ではないだろうか。