社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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相談援助の基盤と専門職①。

ソーシャルワークの形成から統合化を経て、ジェネラリストリストソーシャルワークが成立していく過程について述べなさい」

A評価。

 

 

ソーシャルワークの源流は、古くは宗教から見る事が出来るが、近代では、イギリスの産業革命時の貧困層に対し、数々の慈善組織が誕生した事から見ていく事ができる。様々な慈善事業を組織化し、社会福祉の運営方法・技術を確立した慈善組織協会と、人間的な接触を通じ地域の社会福祉向上を図ったセツルメント運動が代表的で、それぞれがケースワーク、グループワーク、コミュニティワークへと発展していった。

ケースワークの発展が進むと、深層心理や意識・無意識を重要視し、過去の体験からのパーソナリティに着目してアプローチするというフロイトの診断主義学派と、過去ではなく現在に焦点をあて、クライアントが今現在置かれている状況や関係に着目しアプローチしていく、ランクによる機能主義学派に分かれ激しく対立するが、ケースワークの専門性を高め、広がりを作り出していった。しかし、人間の心理的な問題ばかりに傾倒してしまい、当時援助を必要としていた貧困層を対象としないという結果をもたらし、ソーシャルワークが本来の役割を果たしていないという批判を生む事となる。

当時の背景であった第二次世界大戦により、グループワーク、コミュニティワークも大きく発展していった。子ども達の為にレクリエーションが提供されたり、兵士達もグループで行うレクリエーションで気分転換を図っていた。軍需工場を中心とした新しい街づくりではコミュニティワークが適用されていった。

その後、大戦後のアメリカにおいて、ベトナム戦争ケネディ暗殺など大きな社会不安が広がったり、ジョンソン大統領による貧困戦争宣言で貧困問題が社会問題として再浮上すると共に、犯罪や非行、人種差別や人権問題など様々な課題が突きつけられ、改めてソーシャルワークの必要性と意義を見つめ直すきっかけとなっていった。

診断主義学派と機能主義学派の対立は「問題解決」という視点に立った、パールマンの問題解決アプローチの誕生により折衷され、今日まで続く「主体はクライアント」といったソーシャルワークの概念が完成していく。

そして、現代ソーシャルワークの特質とも言えるジェネラリスト・ソーシャルワークの成立は、それぞれで発展していた、ケースワーク、グループワーク、コミュニティーワークを統合し、より複雑化、深刻化していくクライアントへ向け、ソーシャルワークを適切に提供しようという動向に呼応したものである。また、エコロジカル・ソーシャルワークの台頭により「状況の中の人」という概念も誕生し、人にのみ着目する、環境や社会などの状況にのみ着目する、のではなく、それらの関係のあり方に着目するという援助の焦点を明確にした。結果、ソーシャルワーカーの相互作用への専門的介入を促進させる事へとつながり、ジェネラリスト・ソーシャルワークの成立にも大きく関与する事となった。