社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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相談援助の基盤と専門職②。

「相談援助の理念と専門職として守るべき倫理について述べなさい」

A評価。

 

今でこそ、国や社会によって法律や様々なシステムが作られ人権が保障されてはいるが、それ以前からソーシャルワークは存在していた。様々な支援や活動を行ってきた慈善事業家が、皆一様に抱いていたであろう「誰もが当たり前に、ありのままに生活する」という信念こそが、相談援助、広くは社会福祉の理念であるといえよう。それを基盤とし、人権尊重、社会正義、権利擁護という価値を共有し、その上に、クライエントの自己決定、自立支援、エンパワメント、ストレングス視点、ノーマライゼーションと社会的包摂などといった理念が成り立っていると考えられる。

その理念や価値に基づいて働く社会福祉士には、専門職として守るべき倫理綱領が定められている。そしてこれにより具体的状況においての社会福祉士が従うべきルールや行動の基準ともなっている。

綱領の中には、利用者との関係構築や権利擁護などを示した、利用者に対しての倫理責任をはじめ、業務を行うにあたっての責務や他専門職との協働など、実践現場においての倫理責任、社会全体への働きかけを目指す、社会に対する倫理責任も明記されているが、ここでは社会福祉専門職としての倫理を綱領より抜粋しながら論ずることとする。

社会福祉士は、利用者・他の専門職・市民に対し、専門職としての実践を伝え社会的信用を高めていくべきであり(専門職の啓発)、反対にその立場を利用した信用失墜行為を行わないこと(信用失墜行為の禁止)、他の社会福祉士が社会的信用を損なうような場合は、本人にその事実を知らせ、必要な対応を促さなければならない(社会的信用の保持)。同時に、専門職として不当な批判を受けることがあれば、専門職同士で連帯し立場を擁護していくこと(専門職の擁護)も大切である。

また、最良の実践を行うために、スーパービジョン、教育・研修に参加し、援助方法の改善と専門性の向上を常に図っていかなければならない(専門性の向上)。そして、後進を育成していくことも重要な命題として挙げられており、教育・訓練・管理に携わる場合、相手の人権を尊重し、専門職としてのよりよい成長を促していかなければならない(教育・訓練・管理における責務)。さらには、すべての調査・研究過程において、利用者の人権を尊重し、倫理性を確保していくこと(調査・研究)も守るべき倫理として定められている。

上述の倫理責任を全うしながら、あらゆる人間や環境を対象とした社会全体の普遍的価値である「人間の尊厳」と「社会正義」に対し、誠実な基礎的姿勢で、専門的力量を遺憾なく発揮していくことこそが、社会福祉士を含むソーシャルワーカー全体の職責であるのである。