社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

相談援助演習②。

「相談援助におけるクライエントの自己決定の意義について述べなさい」

B評価。

 

社会福祉基礎構造改革の下で、クライエントと援助者が対等な立場に立つべく、基本的には福祉サービスは双方間での契約により展開されるようになった。クライエント主体でサービスを選択する、言わば「利用者本位」の理念で成り立っていると言える。しかし、実状は複雑に絡み合うサービスの種類を利用者本位で熟知し取捨選択する事は極めて難しく、専門職からのアドバイスを受けながら、需給要件を充足し、初めてサービスが始動する状況である。言い換えれば、援助者側の理論が先行した上でサービスが提供されているのだ。利用者本位とは名ばかりになってしまう恐れを孕んでいる。だからこそ、自己決定の真の意義と、専門職としての自己決定の捉え方が重要となってくる。

自己決定の原則は、クライエントの人格を尊重し、自分の問題について自分で判断し、決定する自由があるという理念に基づいたものである。福祉専門職に求められるもののひとつにアドボカシーがあるが、単にクライエントの意思や主張を代弁するだけでなく、自己決定を援助するという意味も含んでいる。あらゆる手立てを講じても、自ら決定できない利用者などへは、彼らの利益を最大限に獲得すべく、ニーズの把握に務め、手段・方法を模索し、最終的にはクライエントの意思決定を代弁しなければならない。クライエントの生活と権利を擁護する活動全てがアドボカシーなのであり、本当の意味での自己決定へと繋がっていくのだ。

そのクライエントの決定を十分に認識した上で、援助者は利用できる社会資源を地域やクライエント自身の中から発見し、活用、支援していくことが責務となるが、冒頭に述べた援助者主体の自己決定にならない為にはどうしたらよいだろうか。

利用者が初めて専門職に相談へ来る際に抱いている気持ちは、「今直面している問題に専門家から何かアドバイスをもらいたい」ということであろう。あくまでももらいたいのはアドバイスなのであり、結論ではない。問題解決の方向性や手段は家族や本人を含めた自分達で決定したいと思っているのだ。まずはそれを当然のこととして受け止め、理解することが専門職としての第一歩であると考える。そして、支援計画が作成された時点で、クライエントが「押し付けられた計画」と感じないよう、ラポール形成の段階から、クライエントへ地域資源や適切なサービスがどの程度、どのように使えるのかを法律上のルールも含めて情報提供し、課題や必要な支援、目標などといったニーズを、アセスメント結果などを活用して明らかにした上で、サービス利用による効果や成果、今後の状況変化までを予測した上で、説明していかねばならない。こうしてクライエントと共同で計画を立てていくことで、本当の意味での自己決定、共に考え、共に進めるという「共同決定」が実現するのである。