社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

現代社会と福祉②。

「諸外国における福祉政策の特徴を整理した上で、日本の福祉政策と比較し、今後の課題について述べよ」

B評価。

 

福祉政策の中でも、特に介護保障に焦点を絞り考察していく。

まずは、福祉国家とも呼ばれるスウェーデンの政策から見ていきたい。

スウェーデン社会保障制度の下では、自治体が最終責任を持ち、必要な人に必要なサービスが公的に保障される普遍型福祉が特徴とされる。加えて、在宅ケアの理念が強いのも特徴だ。生活の支援・援助が主目的とされ、利用者にとって何が必要なのかが最優先に考慮され、介護つき住宅という形で提供される。財源は租税収入でほぼ賄われており、高福祉高負担とも称されている。

次に、日本の介護保険制度の枠組みのモデルとなったドイツの福祉政策を見ていく。

ドイツでは、社会保障は国民の連携によって成立されるとされ、国家の介入を極力避けた補完性の原則が特徴である。生活保護や障害者福祉の介護面以外の部分には、公費は投入されず介護保険により成り立っている。家族制度も厚く、現金給付の介護手当、現物給付のサービス給付といった制度もあり、家族介護者にも労災や年金などを保証している。家族介護を社会的に評価している点も特徴的である。また、「介護の質保証法」の施行や、権利擁護を目的とした「ホーム法」の改正など、介護の「質」の議論も活発である。

最後に、日本の要介護認定やケアプラン方法論などの参考となったアメリカを見ていく。

低福祉低負担のアメリカは、利用者の負担能力に応じたサービスを利用する市場原理を基本とした政策と言える。アメリカの福祉政策は、経済的困窮者に限定していた背景もあり、残余的福祉が特徴である。その為、一般の在宅サービス利用に対しての公的保障はなく、本人が事業者と契約し市場価格でサービスを購入している。価格は安いものではなく、利用率は極めて低い。公的なサービスには、連邦政府が運営するメディケアや、州政府が運営するメディケイドがある。メディケアは、医療制度として設置されたが、ナーシングホーム利用料の軽減にも利用できる。一定期間のみしか保障されていない為、長期入所者はゆくゆく自己破産してしまう事が多い。その後に利用できるのがメディケイドで、低所得者を対象とした医療扶助制度である。近年は、これらの受給要件を緩和し、在宅サービスに力を入れるべきだという動きが広まっている。

以上、代表的な三国のを見てきたが、日本は諸外国の特徴や方法論、理念を参考に制度を設計した。しかし、参考とした諸外国よりも日本の高齢化は深刻で、高齢者の総数だけで見れば、人類史上かつてない数だ。消費税率25.3%の国の政策を模倣し、「認知症ケアの切り札」をなぞるのではなく、超少子高齢化且つ、財源もない日本は、ユニットケアや小規模施設とは違った観点で、利用者の気持ちも踏まえた効率化の研究が必要なのではないだろうか。日本独自の政策が求められてくるであると私は考える。