社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

社会理論と社会システム。

「戦後の日本における地域社会の変化とその問題について、産業化、都市化、過疎化などの社会変動の要因と関連付けて説明しなさい」

A評価。

 

 

「地域」という言葉を聞いて、私が真っ先に連想するイメージは、「地方や下町の一定の区域」である。もちろん大都市であろうと、東京の中心であろうと一定の区域に分けられ、地域は存在している。

では何故、「地方」や「下町」をイメージしたのであろうか。「地域」という言葉には、「一定の区域」という意味だけではなく、人と人との繋がりとか、その中での交流などといった共同性の意味合いが多分に含まれているからであろう。つまり大都市ではこの共同性が希薄であると感じているのである。

都市部において共同性が希薄になっていった背景を追いながら、日本の地域社会の変化と、これからの在り方を考察していきたい。

戦後日本の産業は、第一次産業が衰退していき、第二次・第三次産業へと移り進んでいった。さらには、機械化や産業化が進み農作業の効率化・省力化が図られていき、第一次産業従事者の中でも兼業化が進んでいった。言い換えると、近代化が進むにつれ、隣近所との話し合いや、協力が必要不可欠であった産業は衰退し、共同性は必要性がなくなってきたのである。この時期農村からは過剰人口であった労働力が、必要とされる都市へと供給され、高度経済成長を大きく支えることとなるが、一方で今現在でも流出は止まらず深刻な過疎化の問題もおこり続けている。

こうして構築された都市部の社会は、相識関係がどんどんとなくなっていき、「多面性」「一時性」「匿名性」が突出した社会が形成されていく。この煩わしさのない気楽な生活様式は地方へも広がっていき、例えば商店などは、地域に根ざした「顔の見える」商店街は減少しており、郊外の大型ショッピングモールなどへと活動の場が移り変わってきている。

では、上述の「共同性の希薄な社会」が、現在において望まれて生まれた完成された社会なのであろうか。共同性の代替となるサービスが整えられてきてはいるものの、その区域の中で解決しなければならない共通の課題や、担わなければならない役割はそれ以上に存在している。防災、防犯、子育て、教育、介護などは、専門的サービスだけでは十分にまかなえる分野ではないであろう。

こうした問題や期待に対応すべく、「地域」に変わって生まれた概念がコミュニティである。期待が多様なだけに、コミュニティの定義も多様であり曖昧さが指摘されることもあるが、言葉の中に、「新たな地縁的共同性」を託した、実在概念ではなく期待概念である。

現代においての地域。我々がより快適で安全な生活を望み、共同性に迫られたとき、このコミュニティは様々な形で形成され、地域は再び「地縁共同性のコミュニティ」となり得ることが大いに期待されているのである。