社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

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就労支援サービス

生活保護受給者に対する就労支援の必要性と就労支援を行う上で配慮すべきことを、本領域における就労支援の特徴を踏まえて論じなさい」

 

A評価。

 

長妻厚労大臣の所信表明の中で使われた「ポジティブ・ウェルフェア」という言葉に象徴されるように、今日の社会保障とは、最低限の生活を守る生存権へのセーフティネットの役割だけでなく、そこから自立を支援し、再び就労や活動を通じて社会参加を目指していく事が一番の目的とされている。こうした中、生活保護受給者へは「経済的自立」「日常生活自立」「社会的自立」を目指す自立支援プログラムを通じ、これら3つの自立への第一歩としての就労支援が行われている。

生活保護受給者への就労支援では次の3つの課題が重要なポイントになっているケースが多い。

一つ目は、「健康状態」である。何らかの傷病を抱えている事で、就労に対し不安や諦めを感じていたり、健康状態の不安を理由に求職範囲を狭めてしまったり、反対に傷病を過小に捉えてしまい、無理のある求職活動を行ってしまうなどの問題が挙げられる。医師と連携し、医学的判断に基づいたアセスメントを行う事が重要になる。

二つ目は、「就労意欲」である。失職の挫折感、なかなか再就職できない事による自信喪失、社会から疎外されているという孤独感などにより、求職活動に消極的になったり、自身を過小評価してしまう方も少なくない。この場合、意欲が乏しい要因を、精神的な疾患の可能性も考慮しながら医師や保健師を交えて検討していく事が必要になる。そして、就職セミナーへの参加の斡旋や、ハローワークへの同行、生活習慣の見直し・確立など、要因に応じた個別の支援を行う事が重要になる。

最後に、「本人の希望と現実のギャップ」がある。求職活動を十分に行っているが、業種や仕事内容、給与や待遇などの希望に固執してしまい不採用を繰り返したり、長続きしなかったりするケースも少なくない。本人の希望を尊重する事は大切だが、そのギャップを埋める手伝いをする事も非常に大切である。また、資格などを取得すれば、希望する就労の可能性が高まる場合など、技能・資格取得や職業訓練なども視野に入れた、中長期的な支援を検討する必要もある。

以上、代表的な課題を見てきたが、就労支援の現状は芳しいものではない。雇用環境の改善が全く見られない現在において、本格的な企業就労が進まず、その場しのぎの就労が目立ち、結果として自立した就労支援にはなっていないケースや、増え続ける要保護者で手一杯になり、十分なアセスメントを行わず、単に求職活動を指示するだけの支援に陥っているケースも多い。また、社会から孤立してしまった受給者や就労意欲に乏しい受給者に対し、社会的居場所をどのように確保し、自立支援プログラムにいかにして参加してもらうか、生活保護世帯の子どもへ対し、貧困の連鎖を防ぐ為の支援など課題は尽きない。

 

参考文献:生活保護自立支援の手引き p.55-78

編集:生活保護自立支援の手引き編集委員会

出版社:中央法規