社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

精神保健福祉援助演習(専門)②

精神保健福祉法上の社会復帰施設は、平成18年度より段階的に改正がなされ、平成26年度には障害者総合支援法へ移行し、これまでの精神障害者生活訓練施設は宿泊型自立訓練に、精神障害者福祉ホームA型、B型及び精神障害者地域生活援助事業は、全てグループホームへと一元化された。

グループホームは、介護サービス包括型と外部サービス利用型に大別されるが、今回の事例は後者であると読み取れる為、外部サービス利用型のグループホーム入居者が、どんなサービスを利用できるかについてまとめる。

生活する上での支援としては、事例内でも触れられている家事援助としての居宅介護サービスに加えて、通院等介助の利用も可能である。また、余暇や社会参加の為の外出時には、行動援護や地域生活支援事業での移動支援の利用も考えられる。今回の事例の場合は、金銭管理などを含む生活上の支援の必要性も読み取れる為、日常生活自立支援事業や、成年後見制度の活用も検討していく余地がある。

日中の活動においては、デイケアの他に「近所の作業所」が挙げられているが、今回のケースにおいての作業所とは、①就労移行支援、②就労継続支援A型、③就労継続支援B型、④自立(生活)訓練、⑤生活介護の5つが考えられる。就労意欲や能力がどこまでかは読み取れないが、入浴の機会が不足し、衛生面でのニーズが読めるので、生活介護事業所を利用し、生産や創作、レクリエーション等の活動で充実した時間を過ごしながら、入浴の機会を確保するという支援の方向性も考えられる。

上述の様々なサービスを的確に組み立て、つなぐ為の相談支援事業の利用も可能である。指定特定相談支援事業によるケアマネジメントは、サービスを利用する以上、必ず利用しなければならないと法定化もされている。

今回のケースで考えられるサービスは以上であるが、他にも同行援護や重度訪問介護、療養介護、重度障害者等包括支援、日中一時支援、訪問入浴などグループホームで生活しながら様々なサービスを併用する事が可能である。また、サテライト型住居も法定化され、より単身に近い形での地域生活支援体制も整ってきている。

しかしながら、三障害が一元化され、多角的にニーズに応えられる制度になったものの、サービスそのものを提供する事業所で体制が整っていないのが現状ではないだろうか。それぞれの障害に特化してサービスを提供してきた事業所が、今後、障害の種別にとらわれる事なく、柔軟にニーズに対応していく事が重要であると考える。

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

7精神保健福祉援助演習(基礎)(専門)

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

 

 

精神保健福祉援助演習(専門)①

B+評価。

 

社会的入院が社会問題となっている日本において、精神障害者の退院支援・地域移行支援は精神保健福祉士の担う、最も大きな役割のひとつである。

長期に渡る社会的入院を余儀なくされた精神障害者が地域で暮らす為には、対象者の持つストレングスを最大限に活かせるよう、綿密なアセスメントが第一に必要である。その上で、社会資源や制度を活用し、安心した暮らしが送れるよう環境に働きかけていく。

この事例では、ケアホーム(現在はグループホームに一元化)への入居が移行先として扱われているが、退院後の暮らしの場として、①家族と同居、②一人暮らし、③グループホーム、④入所施設、⑤宿泊型自立訓練施設、⑥サテライト型住居などの社会資源や制度が考えられる。脱施設が叫ばれている今日において、④の入所施設への移行は流れに反しているという見方もあるが、家族の協力を得られないケースや、一人暮らしでは不安が多過ぎるケース、グループホーム、サテライト住居、宿泊型自立訓練などの資源の少なさなどを理由に入所施設を選択せざるを得ないケースもあるであろう。しかし、入所施設も地域に存在している社会資源なのであり、社会的入院の解消を目指す上で、必要な資源であるという見方も出来る。実際に、私が関わっているケースでは、入所施設も定員がいっぱいで利用出来なかった為、短期入所を活用しながら生活の場を確保し、定員の空きを待った後に入所し、現在はグループホームでの生活を目指しているというケースもある。大切なのは、入所施設へ移行した場合においても、そこで支援を終結するのではなく、次のステップへの移行を考えていく事ではないだろうか。

さらに、当事者本人が、本人らしく生き生きとした生活を送って頂く上で、暮らしの場だけでなく、日中の活動や働く場も併せて考慮していく必要がある。これについては、①一般就労、②就労移行支援、③就労継続支援A型、④就労継続支援B型、⑤自立(生活)訓練、⑥生活介護、⑦精神科デイケア、⑧地域のサークル等が考えられる。これらの社会資源をご本人のニーズやデマンドに添いながら組み合わせ、場合によっては新たな社会資源を開発していく事も精神保健福祉士の役割である。

精神障害者の退院支援・地域移行支援といった支援の一場面だけを見てしまうと、終結があるように思えるが、精神障害者への支援に終結はなく、支援ステージが変わっていくものだと私は考えている。長く当事者に寄り添いながら、その時々に応じた当事者のニーズを把握し、各サービス事業所、相談支援専門員、地域移行支援従事者、地域定着支援従事者、市町村の障害福祉担当などといった、多方面の専門職と連携しながら支援を継続していく事が精神保健福祉士の責務である。

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

7精神保健福祉援助演習(基礎)(専門)

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

 

 

精神障害者の生活支援システム

A評価。

 

1981年の国際障害者年を契機に、ノーマライゼーションの考え方が普及し、「完全参加と平等」というテーマが掲げられるようになった。1995年には、「障害者プラン―ノーマライゼーション7か年戦略」において、「地域で共に生活する」ことが明記され、障害者の地域生活の声はさらに大きくなった。これを受け、精神障害者の地域生活を実現するために、生活基盤となる住環境資源やサービスの整備、充実が進められている。

住宅確保の施策の一つとして、公営住宅の利用がある。1980年に身体障害者に限り単身入居が可能となっていたが、2006年には、精神障害者知的障害者にも対象が拡げられた。単身入居、優先入居だけでなく、グループホームとして公営住宅を活用できる制度も整えられた。

精神保健福祉法における社会復帰施設も重要な資源であり、精神障害者生活訓練施設(援護寮)や、精神障害者福祉ホーム(A型・B型)、精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)が法定化されていたが、現在では、障害者総合支援法へそれぞれ統合され、自立(生活)訓練、宿泊型自立訓練、共同生活援助(グループホーム)として位置づけられている。

グループホームは、平成25年度までは、共同生活援助(グループホーム)と、共同生活介護(ケアホーム)として二分化されていたが、対象者を限定することなく、地域移行の推進を可能にすべく、平成26年度よりグループホームに一元化された。また、支援スタッフも柔軟に配置出来るよう、生活支援員のみを配置する「介護サービス包括型」だけでなく、外部の居宅介護事業を組み合わせた「外部サービス利用型」という形態も可能となっている。

共同生活から、単身生活移行のニーズに対しては、「サテライト型住居」の仕組みが創設された。グループホーム近隣の民間アパート等の一室で生活を送りながら、本体住居であるグループホームの支援機能(スタッフの巡回による見守りや、食事、余暇活動への参加、メンバーとの交流など)を利用するというものである。

その他にも、生活保護受給者で、心身の障害のために一人では生活できない者を対象とした救護施設や、社会復帰の可能性がある者に対し、生活指導や自立に向けた技能習得を目指す作業指導を行う更生施設といった、生活保護法で制定されている施設も、精神障害者の生活を支えている。

一般住宅移行への支援事業として、住宅入居等支援事業(居住サポート事業)があったが、様々な社会資源を、対象者のニーズに沿ってトータルコーディネートすべく、現在では相談支援事業に位置づけられている。地域への移行支援だけでなく、24時間の相談体制の提供や、各関係機関との調整など、地域生活定着へ向けた支援も行われている。

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

精神障害者の生活支援―制度・システムとサービス

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

平成26年7月スクーリング資料

 

 

 

精神保健福祉相談援助の基盤(専門)

A評価。

 

患者や家族の数だけ、それぞれ思いは異なる。近年ますます多様化するニーズに応えるために、多職種連携は重要視されており、精神保健福祉士法第41条においても、精神保健福祉士と多職種との連携は義務付けられている。

精神保健福祉領域において、医師、看護師、作業療法士臨床心理士などとチームを組み、精神保健福祉士ソーシャルワークを進めていく。チームの構成員は対等で、それぞれの専門性を尊重し合い、情報を共有化し、リーダーのもとで共通の目標に向かって統一した対応を取ることが求められる。可能な限り、クライエント本人やその家族もチームへ参加し、意思やニーズが正しく反映されるよう配慮することも大切である。

単科の精神科病院、総合病院の精神科、精神科診療所、医療機関併設のデイケアなど、精神保健福祉士の配属先は多岐に渡るが、共通している業務は、精神障害者の生活を支援する立場であるということである。治療を担うのではなく、医療と地域生活の橋渡しをし、クライエントの権利擁護を推し進めることが最大の役割である。その実現のために、精神科医療の枠だけに囚われることなく、福祉、労働、司法、教育など様々な領域の専門職や、ボランティアやセルフヘルプグループなどといったインフォーマルな団体も含め、地域生活実現を目指し、社会資源とのパイプ役となることが求められる。

精神保健福祉領域は、医療色が強い現場であるため、医師にかかるところが大きいと考えられる。医療職ではない精神保健福祉士は、主治医のある場合は、その指導を受けることが義務とされているが、クライエントの社会参加や地域生活支援においては、精神保健福祉士がチームリーダーとしての役割を担う必要がある。つまり、主治医の意見を聞き、指導を受けながらも、精神保健福祉士として独自の専門的な視点に基づいた判断と、それによる支援を実践していかなければならない。自身の所属内だけでなく、外の他機関との連携による援助活動を展開する視点が重要であり、自身の専門性と主体性を発揮する責任を持っていることを日常的に自覚しつつ、研鑽する努力を怠ってはならない。

近年の医療モデルから、生活モデルの視座の転換や、病院から地域へと実践現場を移行しようとする動向に伴い、クライエントは医療と福祉サービス双方の選択権と、自己決定権が保障された。しかし、複雑な法制度の中から自身で選択し決定することは容易とは言えず、ワーカーのパターナリズムに陥ってしまう懸念も孕んでいる。専門職による専門性の深化はもちろんだが、クライエントとの関係性や個別性を大切にした援助のあり方、各専門職の機能の明確化、領域の整理など、今後の課題は少なくない。

 

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

3精神保健福祉相談援助の基盤(基礎・専門)

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

公益社団法人 日本精神保健福祉士協会

ウェブサイト内「精神保健福祉士について」

http://www.japsw.or.jp/psw/

 

 

 

精神保健福祉に関する制度とサービス②

医療観察法以前は、重大な他害行為を行った心神喪失者や心身耗弱者については、措置入院で対応されていた。しかし、必要十分な医療体制を確保する事が困難な上、判断の多くを医師に委ねてしまい、過剰な責任を押し付けてしまう事や、退院後の不十分な仕組み、都道府県を超えた連携の限界など、多くの問題を抱えていた。池田小学校事件を機に、平成15年、医療観察法は施行された。

本制度は、重大な他害行為事件で、心神喪失者または心身耗弱者として不起訴となった者、無罪が確定した者、刑を軽減された者(実刑者は除く)に対し、社会復帰を促進する目的で制定された。保護観察所へも社会復帰調整官が配置され、司法・更生保護の分野でも一層の発展が期待されている。

検察官の申立を受け、裁判官と精神保健審判員により処遇が決定される。その際、対象者の権利擁護の観点から付添人である弁護士を付ける事とされており、必要に応じて精神保健参与員も関与させる事が出来る。事前に対象者は、裁判官の指定する医療機関に入院(最大3週間)し、鑑定入院を実施する。そこでの結果も処遇決定の材料となる。処遇決定後は、厚生労働大臣指定の指定入院医療機関や指定通院医療機関で医療を受ける。尚、医療費は全額国費で支払われる。

入院医療は厚生労働省の定める入院処遇ガイドラインに従って進められ、原則として2年以内とされているが、延長も認められており、6カ月ごとの病院管理者による入院継続の申立てにより決められていく。当然のことながら、指定入院医療機関は、環境やスタッフ配置など一般精神科と比較して格段に充実した体制が整備されている。

次の通院医療は、保護観察所の社会復帰調整官による観察・指導等を受けながら行われる。原則として3年とされているが、裁判所の判断で2年間までの延長も認められる。処遇対象者又は保護者、保護観察所長からの申立てを受け、裁判所が終了を決定するが、保護観察所長の申立てにより、入院処遇、再入院処遇が決定される事もある。

本制度における課題は、現時点で多く指摘されている。指定入院医療機関に比べ、指定通院医療機関や一般精神科の水準に大きな格差がある事や、キーとなり得る福祉専門職の価値と、司法分野の価値に矛盾が生じ易い事などが挙げられており、本制度の両輪と言える、精神医療と精神保健福祉双方全般の水準の向上が求められている。また、制度自体に未整備な事項も多く、入院・通院の機能分化、鑑定基準、大多数が急性期である中での鑑定入院中の治療、保護観察所と他関係機関との責任や権限の所在、地域処遇終了のあり方など多くの面での整備が急がれている。さらには、数少ない指定通院医療機関により、特定の地域に居住が限定されてしまう事による地域からの偏見や無理解も問題であり、国民全体への理解促進も大きな課題と言える。

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

精神障害者の生活支援

「制度・システムとサービス」

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

平成26年7月13日スクーリング資料

 

 

 

精神保健福祉に関する制度とサービス①

A評価。

 

精神障害者をめぐる法律の歴史について順を追って見ていくと、発端は、明治33年の精神病者監護法へ遡る。この法律は、精神障害者の私宅監置を制定したものであり、所謂、「座敷牢」を公認した法律である。

大正7年に、呉秀三と樫田五郎らにより、私宅監置の状況が調査報告されたのを機に、劣悪な処遇を受けてきた精神障害者を、病院での医療へと転換させようと、精神病院法が成立する。しかし、精神病者監護法が撤廃されていなかった事や、世界大恐慌、戦争の混乱などの背景で、充分に奏功しなかったのが事実である。

その後、戦争からの復興へと向かう中で精神衛生法が成立し、精神病者監護法と精神病院法は廃止されるが、まだまだ病院収容主義が払拭されてはいない。措置入院や同意入院、仮入院など、現在の入院形態の礎となる形態が規定されたのもこの法律である。細かな改正を続けながら、昭和38年のケネディー教書を受け、ようやく脱施設化の政策が進行するも、ライシャワー事件による世論の大反発を受け、精神科特例により急増していた精神科病院への収容主義を加速度的に浸透させていく。昭和59年の宇都宮事件により、WHOからの勧告を受け、精神保健法が成立するまで、精神障害者の収容数は増え続けていった。この精神保健法の目的に、権利擁護や社会復帰という言葉が使われるようになり、初めて精神障害者は医療と保護の対象から抜け出し、福祉の対象として話されるようになる。

精神障害者の定義の拡大や、障害者基本法の対象に精神障害者も組み入れられた等の背景から平成7年に精神保健福祉法が成立する。この法の目的には、社会復帰に加えて、自立と社会経済活動への参加の促進や、正しい知識の普及も明記されており、精神障害者福祉手帳制度や、福祉工場の新設、社会適応に向けた支援の強化などに表れている。

平成11年の改正では、アルコールや薬物等の依存者を対象に加える事や、精神医療審査会や精神保健指定医の機能強化、移送制度の創設などといった、医療保護入院措置入院体制の整備が図られている。また、障害者地域生活支援センターの設置や、居宅支援の充実など地域での支援の強化も図られている。

精神保健福祉法は、現在に至るまで、様々な改正がなされているが、代表的なものを挙げると、障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)との連携による職場適応に関する支援や地域居住等への支援、保護者制度の廃止、退院後生活環境相談員の選任義務化や医療保護入院者退院支援委員会の設置義務化など、当事者主体の促進、社会的入院の解消や、退院後の地域生活における体制の整備などが主に図られている。

また、関係諸法令には、池田小学校事件を受けての医療観察法や、障害者虐待防止法なども制定され、多方面から共生社会の実現が目指されている。

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

精神障害者の生活支援

「制度・システムとサービス」

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版

 

平成26年7月13日スクーリング資料

 

 

 

精神保健福祉の理論と相談援助の展開④

精神科リハビリテーションの主な技法として、作業療法、集団精神療法、認知行動療法、心理教育の4つがある。アプローチに違いはあるが、どの療法も「対象者の主体的な活動の回復」つまり、自分自身の力で目標をクリアする事、自分で出来るようになる事を目的として行われる。

作業療法とは、「作業」という言葉から連想される一定の「仕事」だけを指すのではなく、生活を維持する諸動作全般、遊び、他者との関わりといった人の営みに関する全てを意味しており、それらを活用しながら、諸機能の回復や維持、開発を目指す療法である。対象者の身近な作業活動によって自分自身の感覚を取り戻し、成功体験や達成感を積み重ね、自信、主体性の回復を図っていく。手段は、料理、絵画、手芸、陶芸、書道、音楽、スポーツなど様々で、改めて「治療」という認識を持つことなく、活動を楽しむ事によって、回復を目指すものである。

集団精神療法は、ご本人と主治医という個人的な精神療法に対して、集団で行われるものを言い、メンバーと対象者の相互作用を大いに活用しながら良い影響を得ようとする療法で、グループワークに代表される。対人関係の問題だけに焦点が当てられがちだが、自己理解の促進や適応力の向上も図る事ができ、様々な問題や悩みに作用する。

認知行動療法とは、知覚機能、注意機能、記憶機能、実行機能の4つの機能に働きかけながら、気持ちを楽にし、考え方のバランス(認知の歪み)を回復し、ストレスに対応できる状態を目指していく療法である。代表的なものに、社会生活技能の獲得を目指すSSTや、自立生活技能の獲得を目指すSILSプログラムがある。

最後に心理教育であるが、「教育」という言葉の通り、情報提供の意味合いが大きい。様々な諸問題に対しての知識や情報を提供する機会を設け、ご本人やご家族とともに理解を深め、協働して対処法を考える事で、障害と向き合い、前向きな気持ちの獲得を目指していく。方法としては、専門家による講義や、参加者によるグループ討議が一般的な進め方であるが、専門性の偏りや、専門家の権威の依存などを起こさぬよう、多職種チームでのアプローチが大切である。また、主体はあくまでも当事者である事を忘れず、パターナリスティックな関係とならないように努め、最終的なご本人のエンパワメントを目指していかなければならない。

精神科リハビリテーションは入院時だけでなく、必要に応じて退院後も継続されるものであり、対象者の環境や状況によって、必要とされる技能は様々である。居住支援や就労支援の場面においても、必要なリハビリテーションを選択しながら、継続していく事が大切である。

 

参考文献

改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー

5精神保健福祉におけるリハビリテーション

編集:新版・精神保健福祉士養成セミナー

   編集委員会

出版:へるす出版