社会福祉士・精神保健福祉士科目レポート

私が書いたレポートを公開してみます。新科目には対応しておりません。

社会保障①。

公的年金保険の概要について説明しなさい」

B評価。

 

公的年金とは、国・政府が運営する社会保障制度のひとつであり、1階部分の国民年金、2階部分の厚生年金(主として民間の会社員に適用)・共済年金(公務員、私立学校教職員に適用)という2階建ての構造で成り立っている。特徴として、全ての国民が国民年金制度に加入する「国民皆年金」であること、加入者が保険料を納め、将来年金の給付を受ける「社会保険方式」であること(つまり、保険料を納めなければ年金は支払われない)、現役世代が保険料を納め、それを財源として年金受給者世代へ支払われる「世代間扶養」であることが挙げられる。また、上記3種の年金以外にも、国民年金基金や、厚生年金基金などの任意加入の制度があることや、共済年金には職域加算があることなどから、3階建ての構造とも呼ばれることもある。それぞれの年金の給付には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3種類があり、任意に加入した年金はそれらに上乗せされて支給される。

以上、公的年金の大まかな構造を述べたが、以下、今後の課題や問題点を述べていく。

今回、民主党政権交代を実現させたが、実現成功の大きな理由として、年金問題への取り組み姿勢が挙げられるであろう。国民にとってもそれだけ関心が高い問題であると言い換えられる。

その民主党マニフェストの中に、「2013年度までに新しい公的年金制度を創設するための法改正を実現する」とある。具体的には、国民年金、厚生年金、共済年金の一元化を目指し、同じ所得の人は同じ保険料を納め、それに基づいた給付を受ける「所得比例年金」と、全ての国民に対して、最低限月7万円の年金を保障する「最低保障年金」の制度を確立しようというものである。財源には消費税を充てることも謳っている。この法案は、現制度を抜本的に変えるものであるが、実現にあたって以下のような問題点が指摘されている。①自営業者を含め、所得をどのように定義し、把握するのか。②現行の制度からの移行を不公平なくどのように行うのか。③最低保障年金と生活保護の線引き、関係性をどのように位置付けるのか。④公的年金の補完が期待される私的年金を、どのように拡充させていくのか。などである。また、これまで社会保険方式で賄ってきた年金制度に、租税負担を導入する税方式への転換も大きな問題であり、所得制限導入の必要性や、事業主負担の軽減、拠出と給付の関係が明確でない故、負担増について国民の合意が得難いなどの指摘もなされている。

参考に、EU諸国の年金改革を見てみると、各国で共通しているのは、保険料の据え置き、もしくは引き下げを行い、一方で支給開始年齢の引き上げや保険料拠出期間の延長などにより給付調整を行っている。財源確保のためには、目的税を導入している。福祉先進諸国を再び手本にし、検討してみる余地はまだまだあるのではないだろうか。